イジワル外科医の熱愛ロマンス
目がなにを追っているかわからないような状態で、探していたせいだ。
五冊頼まれたから、五冊借りてきた。
私が正解できたのは、本の冊数だけだったのと同じようなもの。
「すぐ、借り直してきますっ!」
勢いよく頭を下げ、大学図書館に戻ろうとして、クルッと回れ右をする。
そのまま医局のドアに向かいかけると、後ろから「いいいい」と止められてしまった。
「そんな急ぐもんでもないし、またなにかのついでの時でいいよ。研修医や助教たちが行くことあるだろうし、その時に一緒に頼んでくれてもいい」
木山先生は気を遣ってそう言ってくれたのだろうけど、私は自分の無能さにズーンと落ち込んでしまう。
「すみません……」
ガックリとこうべを垂れ、肩も首も縮ませて謝ると、木山先生は『はは』と苦笑した。
「だから、いいって。でも珍しいね。本郷さんがこういうミス」
そう言われて、そっと頭を上げた。
木山先生はそんなことを言ってくれるけれど、決して私のミスが少ないというわけじゃない。
メモに書かれたタイトルが間違っていたならともかく、本を探して借りてくるなんて、超初歩的な仕事だ。
慣れないうちは探すのに時間がかかったりはしたけど、少なくとも今まで、メモの通りに借りて来れないなんてミスをしたことは一度もない。
五冊頼まれたから、五冊借りてきた。
私が正解できたのは、本の冊数だけだったのと同じようなもの。
「すぐ、借り直してきますっ!」
勢いよく頭を下げ、大学図書館に戻ろうとして、クルッと回れ右をする。
そのまま医局のドアに向かいかけると、後ろから「いいいい」と止められてしまった。
「そんな急ぐもんでもないし、またなにかのついでの時でいいよ。研修医や助教たちが行くことあるだろうし、その時に一緒に頼んでくれてもいい」
木山先生は気を遣ってそう言ってくれたのだろうけど、私は自分の無能さにズーンと落ち込んでしまう。
「すみません……」
ガックリとこうべを垂れ、肩も首も縮ませて謝ると、木山先生は『はは』と苦笑した。
「だから、いいって。でも珍しいね。本郷さんがこういうミス」
そう言われて、そっと頭を上げた。
木山先生はそんなことを言ってくれるけれど、決して私のミスが少ないというわけじゃない。
メモに書かれたタイトルが間違っていたならともかく、本を探して借りてくるなんて、超初歩的な仕事だ。
慣れないうちは探すのに時間がかかったりはしたけど、少なくとも今まで、メモの通りに借りて来れないなんてミスをしたことは一度もない。