イジワル外科医の熱愛ロマンス
なのに私……いくら猛烈に動揺していたとは言え、こんな簡単な頼まれごともできないなんて。
あまりに自分が不甲斐なくて、なんだか泣きたくなってきた。
グスッと鼻を鳴らしてしまいそうになり、それを誤魔化す為にへらっと笑った時、ドア口の方から『あ~』と美奈ちゃんの声が聞こえてきた。
「木山先生、なに雫さんのこと虐めてるんですか!」
軽く腕組みをして、軽く頬を膨らませた美奈ちゃんが、ちょっと速足でパンプスの踵を鳴らしながら入ってくる。
木山先生からわずかに遅れてそっちを見た私の目に、美奈ちゃんの後から医局に入ってきた祐の姿がばっちり映り込んだ。
途端に、やっと少し平坦なリズムに戻っていた鼓動が、再びドクッと疼くような音を立てて狂い出す。
祐はどこかから美奈ちゃんと一緒に戻ってきたのか、彼女が口にした私の名前を耳にして、少し細めた目をこっちに向けてくる。
真正面から目が合ってしまう寸前で、私は顔を背けて彼の姿を視界から追い出した。
「人聞きの悪い。別に虐めてるわけじゃない」
美奈ちゃんに咎められた木山先生が、ちょっとムッとしたように口をへの字に曲げた。
彼が返した言葉を聞いて、私も慌てて美奈ちゃんの方に顔を向ける。
「そ、そうです、美奈ちゃん。私がバカなミスをしたので……」
「え? 雫さんが? ミス?」
あまりに自分が不甲斐なくて、なんだか泣きたくなってきた。
グスッと鼻を鳴らしてしまいそうになり、それを誤魔化す為にへらっと笑った時、ドア口の方から『あ~』と美奈ちゃんの声が聞こえてきた。
「木山先生、なに雫さんのこと虐めてるんですか!」
軽く腕組みをして、軽く頬を膨らませた美奈ちゃんが、ちょっと速足でパンプスの踵を鳴らしながら入ってくる。
木山先生からわずかに遅れてそっちを見た私の目に、美奈ちゃんの後から医局に入ってきた祐の姿がばっちり映り込んだ。
途端に、やっと少し平坦なリズムに戻っていた鼓動が、再びドクッと疼くような音を立てて狂い出す。
祐はどこかから美奈ちゃんと一緒に戻ってきたのか、彼女が口にした私の名前を耳にして、少し細めた目をこっちに向けてくる。
真正面から目が合ってしまう寸前で、私は顔を背けて彼の姿を視界から追い出した。
「人聞きの悪い。別に虐めてるわけじゃない」
美奈ちゃんに咎められた木山先生が、ちょっとムッとしたように口をへの字に曲げた。
彼が返した言葉を聞いて、私も慌てて美奈ちゃんの方に顔を向ける。
「そ、そうです、美奈ちゃん。私がバカなミスをしたので……」
「え? 雫さんが? ミス?」