イジワル外科医の熱愛ロマンス
祐はどこまでもふてぶてしく言い放つと、大きな歩幅で部屋のドアに向かっていった。


「あ、ゆ、祐……」


思わず呼びかけてしまったのは、行きたいけれど、祐と二人?と考えたら抵抗があったせい。
ドアレバーに手をかけた祐が、「ん?」と微かに眉尻を上げて首を傾げる。
私はまだ首を縮めたまま、ボソッと小さく唇を開く。


「あの……私と祐の、二人で行くんですか……?」


恐る恐る口にすると、彼はムッとしたように唇を曲げた。


「わかりやすく嫌がるなよ」

「す、すみません。嫌というわけではなくて、その……」


そんなの、デートみたい、と言おうとして、私は慌てて言葉をのんだ。
口ごもって俯く私を見て、祐がはあっと声に出して溜め息をつく。


「わざわざ土曜に迎えに来てるんだから、デートに決まってるだろ」

「っ」


私の心を見透かした祐の気ない返事にまで、鼓動がドキッと跳ね上がる。


「下で待ってる。早くしろ」


なにも言えない私に背を向け、祐は部屋から出て行った。
バタンと少し大きな音を立ててドアが閉まると、私は無意識にその場にペタンと座り込んでしまった。


「なんで……デート……?」
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