イジワル外科医の熱愛ロマンス
とは言え、私がどう頑張ったってこの程度なのは、誘ってきた祐の方がよくご存じのはず。
だって私は彼にとって『絶対ない』女なんだから。


自分に釣り合うルックスの女性がいいのなら、最初から他の人を誘えばいい話だ。
つまり、私を誘ってきたからには、もっと他に別の目的があるはず。


祐は愛車のベンツで私を迎えに来ていた。
相変わらず優雅にスマートに私を助手席にエスコートしてくれた後、自分も運転席に回ってハンドルを握った。


祐が運転する車に乗るのは、初めてではない。
まだ婚約者だった頃、彼の家のイベントに出席しなければならなくて、こうして車で迎えに来てくれたことが数度あった。


もちろん、デートではない。
婚約者としてのただのお務め。


数年ぶりに祐が運転する車の快適なシートに身を沈めながら、私はそっと彼の横顔を盗み見た。


ほんと……なんで私だろう？
今日の突然のデートの誘いの目的を探って、私は真っすぐ進行方向を向く祐を見つめる。


こうしてジッと見てみると、やっぱり祐はカッコいい。
中学生の頃までは確かにこの人に恋をしていた。
そんな淡い想いを思い出し、なぜだかきゅんと胸が疼く。


最初の信号に引っかかり、ほとんど振動を感じさせずに、祐が静かにブレーキを踏む。
そして、チラッと私に横目を向けた。
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