イジワル外科医の熱愛ロマンス
「……これ、よく一緒に弾いたな」
祐が目を閉じたまま、私の心を見透かすかのように呟いた。
思わず息をのみながら、首を捻って祐の横顔を見つめてしまう。
彼は私の視線に応えるように、ゆっくり目を開けた。
わずかに口角を上げて、「覚えてない?」と訊ねてくる。
それには黙って何度も首を横に振ってみせた。
「お、覚えてます」
ボソッとした声で返事をしてから、私は眼下のステージに顔を向けた。
今、祐と私の胸に同じ思い出が過っている。
そう感じて、なんだかちょっと落ち着かない。
隣の気配を意識しながらも、演奏に酔いしれているうちに、演奏は、第三楽章に入った。
「第三楽章か。俺の好きな楽章だ。お前は……怖がってたっけ」
演奏の邪魔にならないくらいの小さな声で、祐が私に向けてそう言った。
その言葉にドキッとして、私はマエストロとコンマスから視線を外し、そっと彼を視界の端に映す。
「第四楽章は転調して、お前が好きな明るくテンポの速い曲調になる。けど……第三楽章があるから、第四楽章が際立つんだよ」
祐は再び目を閉じて、胸の前で腕組みをした。
それを聞いて、私は思わず胸に手を当て、ギュッと握り締めてしまう。
祐が目を閉じたまま、私の心を見透かすかのように呟いた。
思わず息をのみながら、首を捻って祐の横顔を見つめてしまう。
彼は私の視線に応えるように、ゆっくり目を開けた。
わずかに口角を上げて、「覚えてない?」と訊ねてくる。
それには黙って何度も首を横に振ってみせた。
「お、覚えてます」
ボソッとした声で返事をしてから、私は眼下のステージに顔を向けた。
今、祐と私の胸に同じ思い出が過っている。
そう感じて、なんだかちょっと落ち着かない。
隣の気配を意識しながらも、演奏に酔いしれているうちに、演奏は、第三楽章に入った。
「第三楽章か。俺の好きな楽章だ。お前は……怖がってたっけ」
演奏の邪魔にならないくらいの小さな声で、祐が私に向けてそう言った。
その言葉にドキッとして、私はマエストロとコンマスから視線を外し、そっと彼を視界の端に映す。
「第四楽章は転調して、お前が好きな明るくテンポの速い曲調になる。けど……第三楽章があるから、第四楽章が際立つんだよ」
祐は再び目を閉じて、胸の前で腕組みをした。
それを聞いて、私は思わず胸に手を当て、ギュッと握り締めてしまう。