僕の恋の色 【短編】
今日も僕は君に見入っている。

いつも通りの日々で時が過ぎていく。

このまま、まともに話すことも出来ずに君とは終わるかもしれない。

そう思うと、自分から話しかけなければ、いつか僕は後悔するのだろう。

かといって、気の利いた話題なんてふれない。

そもそも僕は、君が何を好きかなんて全く知らないし、どうしたら喜んでくれるのかもわからない。



「じゃあ、今日の授業はここまでだ。いつも通り、授業確認の小テストするぞー」



しまった。

いろんなことを悶々と考えていた間に、講義が終わってしまった。

そして、今はいかに授業を聞いて、頭に入っているかというのを確かめる小テストが始まった。

当然、僕に一問もわかるはずがない。

なんてったって、聞いていないのだから。



「終わった者から退出しても構わんぞ」



次々と小テストを終わらせた生徒たちが帰っていく。

全て空欄で提出するのは、さすがに先生に目をつけられそうで嫌だった。

そこで悪いこととはわかっていながらも、こっそり隣を覗いてみた。

隣の彼女の問題用紙は最後の一問以外、埋めてある。

さすがだな、なんて感心していた時だった。
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