炭酸アンチヒーロー
◆ ◆ ◆
それからまた数日が経っても、逸らされる視線と掛けられない言葉。
どうしよう、このままでいいはずないのに。
でも、私から、なんて言えばいいの?
……私は、辻くんになんて言いたいの?
またもや答えの出ない問いかけを頭の中でループしながら、授業の合間の休み時間にひとり廊下を歩く。
すると角を曲がりかけたところで、突然体に衝撃が走った。
「ひゃっ」
「わ!」
思わず小さく悲鳴を上げ、反動によろめくけどなんとか堪える。
「ご、ごめんなさい」
目の前から自分のものとは違う声も聞こえたことに気づいたから、謝りながらすぐに顔を上げた。
「あれ? 蓮見さん?」
「あ……里見くん?」
ぶつかった相手が思いがけず顔見知りで、私たちはお互いを見つめたまま、拍子抜けして立ち尽くしてしまう。
だけどすぐ、里見くんはハッとしたように口を開いた。