炭酸アンチヒーロー
「う~ん、そっかぁ……」

「あの、辻くんがねー……」



一通り私の話を聞き終えたふたりは、それぞれに感慨深げなつぶやきを漏らす。

私はというと、なんだかものすごーく恥ずかしくて。自分の手元にある、ほうじ茶ラテの白い泡ばかり見つめていた。



「じゃあまおは、今は辻くんへの返事を保留にしてるんだ?」

「保留、っていうか……」

「すごいなーはすみん! あの辻っちに『待て』させてるとか!」

「え、辻くん犬扱い?」



沙頼のツッコみに、思わず苦笑がこぼれる。

けど私は、佳柄のセリフに反論することはできないと思った。

……いい加減、自分でもはっきりさせなきゃって、わかってるのに。



「辻っちね、こないだ、7組の女の子に告られたらしいよ」



抹茶パフェをつつきながら、ポツリと佳柄が話す。

私は思わず固まった。



「え」

「けど、『すきな人がいるから』って断ったって。……それって、はすみんのことだったんだね」



言いながら気遣うような視線を向けられ、うつむき気味に押し黙った。

なぜか痛いくらい、胸が締めつけられる。
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