炭酸アンチヒーロー
試合が始まって、思ったこと。



「(や、野球って、こんなに激しいスポーツだったっけ……?)」



だって、勢いよくスライディングしたり、ボールを取るために思いっきり飛びついたり。

やっぱりテレビを観るのと生で観戦するのとは、全然迫力や臨場感が違う。

どちらの選手のプレーにも、さっきから両手を握りしめてドキドキしっぱなしだ。



「やばいね……ワンナウトでランナー1、3塁だ」



敵のランナーがいる三塁を見ながら、沙頼が苦い顔でつぶやく。

セーフティバント、盗塁、三振、内野の際どいヒット。

今のところうちの学校は1点を先取してるけど、ここで大きなヒットが出たら逆転。犠牲フライでも同点になってしまう。

じっとバッターを見つめながら、胸の前で組んだ手に思わず力が入る。
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