炭酸アンチヒーロー
眩しいくらいの夏の太陽は、相変わらず私たちを照らす。
つながった手が熱くて、緊張して、ドキドキしすぎて、めまいを起こしそう。
私がそんなことを言ったら、隣を歩く辻くんは、自由な片手で顔を覆ってしまった。
「ほんっと、蓮見って……」
「? 私、何か変なこと言った?」
「無意識ってこえー……」
「え? なんて……?」
よく聞こえなかった言葉を訊き返すと、辻くんは顔を覆っていた片手を外して、じっとこちらを見つめる。
それからつないだ手に力を込めてから、仕方ないというふうに、笑った。
「……蓮見がすきだよって、言ったんだよ」
生ぬるい風が、肌を撫でる。
ふと地面を見ると、つながったふたつの影が、アスファルトに映っていて。どうしようもなく、うれしくなった。
私のすきな人は、ちょっと口が悪くて意地悪で。だけど不器用にやさしくて、野球をしていて、何よりも夏が似合う人。
今年の夏も、来年の夏も。それ以外の季節だって、ずっとそばで見ていたいって、思うよ。
この瞳が映す世界で、きみは。
きっと、いつだってきらきらに輝くから。
/END
つながった手が熱くて、緊張して、ドキドキしすぎて、めまいを起こしそう。
私がそんなことを言ったら、隣を歩く辻くんは、自由な片手で顔を覆ってしまった。
「ほんっと、蓮見って……」
「? 私、何か変なこと言った?」
「無意識ってこえー……」
「え? なんて……?」
よく聞こえなかった言葉を訊き返すと、辻くんは顔を覆っていた片手を外して、じっとこちらを見つめる。
それからつないだ手に力を込めてから、仕方ないというふうに、笑った。
「……蓮見がすきだよって、言ったんだよ」
生ぬるい風が、肌を撫でる。
ふと地面を見ると、つながったふたつの影が、アスファルトに映っていて。どうしようもなく、うれしくなった。
私のすきな人は、ちょっと口が悪くて意地悪で。だけど不器用にやさしくて、野球をしていて、何よりも夏が似合う人。
今年の夏も、来年の夏も。それ以外の季節だって、ずっとそばで見ていたいって、思うよ。
この瞳が映す世界で、きみは。
きっと、いつだってきらきらに輝くから。
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