炭酸アンチヒーロー
偶然金子くんの告白現場を目撃してしまった放課後から、1週間ほどが経って。
その間クラスメイトの……ある男の子の発言に翻弄されてたこともあったから、あまり考える余裕もなかったけど。
それでも、姿を見ると、声を聞くと、嫌でも思い出してしまうのだ。
決して短くはない間、ずっと自分の中でこっそりあたため続けていた、想い。
……ああ、痛い、なあ。
──キンッ!!
思考に耽っていた私を現実へと引き戻したのは、思いがけなくすぐそばから聞こえた、高く鋭い音だった。
それと辺り一帯によく通る、明らかに男子だとわかる複数の野太い声。
「そっか……第2グラウンドって、野球部が使ってるんだっけ……」
何気なく足を止め、フェンスにかかっている【第2グラウンド】というプレートの文字を確認する。
体育の授業でいつも使うのはより校舎に近い第1グラウンドだから、ここはあまり馴染みがない。
そして目に映ったのは、茶色のグラウンドに映える白いユニフォーム姿の球児たちだ。
フェンスの網目に手をかけ、広いグラウンドをぐるりと見回してみる、と。また先ほどと同じ高い音が聞こえて、そちらに目を向けた。
その間クラスメイトの……ある男の子の発言に翻弄されてたこともあったから、あまり考える余裕もなかったけど。
それでも、姿を見ると、声を聞くと、嫌でも思い出してしまうのだ。
決して短くはない間、ずっと自分の中でこっそりあたため続けていた、想い。
……ああ、痛い、なあ。
──キンッ!!
思考に耽っていた私を現実へと引き戻したのは、思いがけなくすぐそばから聞こえた、高く鋭い音だった。
それと辺り一帯によく通る、明らかに男子だとわかる複数の野太い声。
「そっか……第2グラウンドって、野球部が使ってるんだっけ……」
何気なく足を止め、フェンスにかかっている【第2グラウンド】というプレートの文字を確認する。
体育の授業でいつも使うのはより校舎に近い第1グラウンドだから、ここはあまり馴染みがない。
そして目に映ったのは、茶色のグラウンドに映える白いユニフォーム姿の球児たちだ。
フェンスの網目に手をかけ、広いグラウンドをぐるりと見回してみる、と。また先ほどと同じ高い音が聞こえて、そちらに目を向けた。