炭酸アンチヒーロー
私をまっすぐ見据えたまま、どこか楽しげに彼が口を開く。
「きみさ、蓮見さん、だよね? ヒロと同じ8組の」
「ひ、ろ?」
「ああ、ツジだよ。ツジ ヒロト」
右手にはめたグローブに左手でボールを軽く投げながら、目の前の彼がにっこり笑った。
……思い出した。この人、たまに8組に来て辻くんと話してたり、よく辻くんと廊下で一緒にいたりする──。
「えと、6組の……」
「里見悠介です。話すのははじめまして、だよね?」
「う、うん」
自分へ向けられている笑顔に応えるよう、私もぎこちなく、笑みを浮かべながら言葉を返した。
なんていうか、人なつっこい人だなあ。私結構人見知りするタイプで、スムーズに受け答えできてないと思うんだけど……そんなの気にするそぶりもなく、話しかけてくれる。
「ていうかさ」
ちら、とどこかに視線を向けてから、里見くんがまた話を切り出す。
「蓮見さん、俺のこと知ってたんだ」
「あ、たまに8組に来てるよね?」
「あ~そっか、ヒロんとこ行ったときかあ」
ボールをいじりながら納得したようにうなずく里見くんに、今度は私から疑問をぶつけてみた。
「えと、里見くんは、なんで私のこと……」
「ああ……まあ、なんていうか間接的にヒロ経由でかな」
「へ」
つい、間抜けな声が漏れる。
辻くん経由、って……まさか里見くんは、あの放課後の出来事を知っているんだろうか。
え、うそ、まさか、どのあたりまで? というか辻くんって、そういう話を誰かにするように見えないけど……ええ?
「きみさ、蓮見さん、だよね? ヒロと同じ8組の」
「ひ、ろ?」
「ああ、ツジだよ。ツジ ヒロト」
右手にはめたグローブに左手でボールを軽く投げながら、目の前の彼がにっこり笑った。
……思い出した。この人、たまに8組に来て辻くんと話してたり、よく辻くんと廊下で一緒にいたりする──。
「えと、6組の……」
「里見悠介です。話すのははじめまして、だよね?」
「う、うん」
自分へ向けられている笑顔に応えるよう、私もぎこちなく、笑みを浮かべながら言葉を返した。
なんていうか、人なつっこい人だなあ。私結構人見知りするタイプで、スムーズに受け答えできてないと思うんだけど……そんなの気にするそぶりもなく、話しかけてくれる。
「ていうかさ」
ちら、とどこかに視線を向けてから、里見くんがまた話を切り出す。
「蓮見さん、俺のこと知ってたんだ」
「あ、たまに8組に来てるよね?」
「あ~そっか、ヒロんとこ行ったときかあ」
ボールをいじりながら納得したようにうなずく里見くんに、今度は私から疑問をぶつけてみた。
「えと、里見くんは、なんで私のこと……」
「ああ……まあ、なんていうか間接的にヒロ経由でかな」
「へ」
つい、間抜けな声が漏れる。
辻くん経由、って……まさか里見くんは、あの放課後の出来事を知っているんだろうか。
え、うそ、まさか、どのあたりまで? というか辻くんって、そういう話を誰かにするように見えないけど……ええ?