炭酸アンチヒーロー
◆ ◆ ◆
ここ最近、ひとりのときはなんとなく第2グラウンドの横を通るルートで帰ることが馴染んでしまった私。
その日も例に漏れず、部活動の声が聞こえる中をひとり歩いていた。
だけどいつもと違ったのは、そのときの私が、ひどく考え込んでいたということ。
「(……昨日のアレは、まずいよね……)」
どうして、同級生の男の子の頭なんか撫でてしまったのか。
しかも、相手は辻くんで。
「(辻くん、びっくりした顔してた)」
そりゃあするよね。私だって、びっくりした。
無意識に、手を伸ばしてた、なんて。
「(私、なんかおかしいのかも)」
最近、私はいっつもおかしい。なんだかいろんなことがあって、頭がついていけてないような気がする。
「(それも、辻くんのせい?)」
おかしいの。ぐるぐるぐるぐる、気づけばいろんなこと考えてる。
金子くんが告白していた場面とか、中井さんの照れくさそうな笑顔とか、この間の里見くんの言葉とか。
でもその全部が、最終的に辻くんに結びつく。