炭酸アンチヒーロー
だから、距離を置こうと思った。

どれだけ耐えられるかはわからない。けれどしばらくは特別な用事でもないかぎり蓮見に近づかず、そして話さないようにと。

それは彼女のためでもあるし、同時に──自分のためでもあった。

いつか本当に、自分で自分を抑えられなくなってしまう日が、来てしまいそうで。



「今日で3日、か……」



昔から厳しい野球の練習に耐えてきた成果か、自分でも精神的に強い方だとは思うけど。

だけどどうも、あいつに対してはその自慢の精神力もほとんど無意味な気がする。

笑顔が見たい。触れたい。声が聞きたい。

俺のことを、すきになってほしい。

近づくほどに心の中で芽生える蓮見に望むワガママは、際限がなくて。

また俺は、自分への呆れが混じった深いため息をついた。
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