虹色キャンバス
すると、ふいに安西が僕の腕をつかんだ。


「ん?」


「人、多いから」


「ああ」


手をつなぐと、安西は照れた顔を隠すように水槽のほうを向いた。


「この辺の海の魚たちだって」

水槽横の説明書きを見ながら安西が言った。


「へ~。意外と種類多いんだな」


「ねぇ。海、汚いからお魚なんていないかと思った」


「お、カニまでいるぞ」

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