虹色キャンバス
「じゃ、個性ってなんですか?」


「個性?」


「僕は、自分が良いと思う絵を描きたいだけです」


「なら佐久間。家で、一人で描いていればいいじゃないか。学校なんて来る必要ない。自分の描きたい絵を、誰にも邪魔されずに、せっせと描いていればいい」


山崎がそう言うと、アトリエの中は凍りついたように静まり返った。


村上も樋口も、

みんな下を向いたまま黙っていた。

< 192 / 216 >

この作品をシェア

pagetop