虹色キャンバス
「いいじゃないか、父さん」

兄の亮が口をはさんだ。

亮は僕より5歳年上で、美術科進学に賛成してくれた経緯があった。


「進の人生なんだ。本人の好きにさせてやれよ」


「お前は去年もそう言って進の肩を持ったが、この有様じゃないか」


「いいよ兄さん。みんな僕がいけないんだから」


「そうだ。お前の独りよがりだ。多少、絵の才能があるとほめられて有頂天になったバチだ」

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