白のアリア
 北の国の冬は厳しい。
 そんな国では、人々は白い色を嫌っていくようになった。長い歴史の中、何千人かの割合で生まれてくる
白髪の子供。
 人々は差別した。

 クルスもまたそんな1人で、幼い時から
クルスは城の奥深い部屋に幽閉されて過ごした。

 幼い日のアルバートもまたクルスを嫌って過ごした。
 クルスの部屋には決して近づかない、悪口こそ言わないが無視をしていた。

 人は自分の傷には敏感だが、人の痛みには無頓着だ。
 自分の身に起こってから、初めて考えるようになる。
 アルバートもまたそんな感じだった。

 アルバートには、王位を争った男がいた。
 従兄弟のケルン。
 それは国中を巻き込んだ壮絶な、王位継承争いだったらしい。
 ケルンにアルバートは捕らえられ、そこでクルスと初めて話をした。

 今までクルスを嫌って無視してきたアルバートに
クルスは優しかった。
 クルスは誰も恨んでなくて、アルバートが逃げる手助けをしてくれた。

 その後、王位を継承したアルバートは
まず1つのお触れをだした。

 アルバートが王位継承をしたその日から
白髪の者を差別する事を禁ずる……。
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