白のアリア
「懐かしい名前だね」
「そうだね……ケルンか」
 それはとうに死んだと思っていた従兄弟のケルンからだった。どうやら生きていたらしい。ケルンの要求は、アリアの命と引き換えに王位を渡す事。

「じゃ俺行くわ」
 クルスは手紙を読み終わると部屋を出て行こうとする。

 それを慌ててアルバートが止めた。
「待て待て待て!どこに行く!」

「アリアを助けにだよ?決まってる」

「何の作戦も無しに行っても、どちらも死ぬだけだ!クルス冷静になれ!」

 しかしクルスはアルバートを振り払って行こうとする。皆、こんなクルスを見るのは始めてだった。いつもひょうひょうとしている……そんな印象が強かったからだ。

 アルバートはクルスと目を合わせると、
静かに語りかけた。
「少し時間が欲しい。クルス、必ずアリア姫を助ける。ほんの少し待って欲しい」

 いつにないアルバートの真剣な眼差しにクルスは頷いた。そして、囚われたアリアの身を案じた。
 
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