白のアリア
　甘い匂いとくらくらと痛む頭を押さえながらアリアは目を覚ました。
「ここどこ……？」
　アリアが寝かせられていたのは、やたら少女趣味な天蓋付きのベット。アリアもレースとフリルがふんだんに使われたピンクのドレスを身にまとっていた。

「なにこれ？あ……またクルスか
なにこんなの私に着せてんの？
似合わないてーの」

　アリアは部屋をきょろきょろと見回してクルスを探す。しかし、クルスはいない。アリアは今まで感じたことのない不安を感じた。

「目を覚まされましまか？アリア姫」

　いつからいたのか、アリアにクルスに会いたいかと尋ねた侍女が微笑んで立っていた。

「アリア姫。喉は乾かれてませんか？
はい、お水」

「これはどうも……てここはどこ？あんた誰？クルスどこ？」

　侍女はころころと鈴音のように可憐に笑う。そしてアリアの隣に腰かけた。

「私はディラ。ケルン様の愛妾ですわ」

「愛妾？愛人って事？……てかケルンって……」

　その名前はアリアは聞き覚えがあった。たしか、クルスに関わる名前だったはずだ。

「そうよ。この国の真実の　
王たる方ですわ」

　さ～と全身の血が下がっていくのをアリアは感じた。そしてクルスとは、もう会えないかもしれない……そんな予感を感じた。
< 28 / 53 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop