白のアリア
 吐き捨てるように言った言葉に込められた人生を思うとクルスの胸は重く何かが降り積もっていくような気がした。

「さあ皆、部屋に戻ろう?こんな所にいてもなんの価値もないわ」

「そうかな……」

 クルスは白い息とともに思いを言葉に込めた。

「この雪が、あるから強くなれたよ。
その冷たさが強くもしてくれた……

そうは思えない?」

 リルカはうつむいて返事をしなかった。クルスはいつか伝わるといいなと願いながら
屋敷を後にしようとした。

「あの……!」

「雪も酷くなってきましたし、少し休んで行かれませんか?」

 確かにクルスの肩には雪が積もっていた。
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