白のアリア
「ぷ……」
 誰かが笑いをこらえる声にアリアは気がついた。
 そして、あっ……と思う。
 柱の陰にいたのは、さっきの白髪の青年だったから。

「クルス、そんな所にいたのか。
こっちへ来い」

「いーよ。俺はここで。
続けてよ。その喜劇」

 喜劇ですって?アリアはカチンときた。
 つかつかとクルスの所まで近寄ると、クルスの耳をつかもうとした。
 しかし、クルスはアリアの手を器用に避けて、アリアを抱きしめた。

 な……!

 アリアは突然の事に驚き暴れる。
 でもクルスの腕はびくともしない。

「うん。腐ってもお姫様だな。
案外、か弱い」

「失礼ね。腐ってないわよ!か弱くないわ、私は強いのよ」

「じゃあ、俺の腕を振りほどいてみろよ!」

 むむむ。
 アリアは悔しくてならない。

 見かねたアルバートがクルスにやんわり止めるように言うと、やっとアリアの開放された。

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