白のアリア
 「ね?悪い話ではなかったでしょう?アリア姫」

 確かに悪い話ではなかった、もし本当に実現するのなら。しかしそれはないだろう。アルステルスの兵力はこの大陸一だ。きっとたくさんの血が流れる。

「デュラ、あなたはこの話が実現可能だと思ってるの?」

「思ってますわ。ケルン様の言うことは絶対です」

 あーもう馬鹿、恋愛馬鹿。
 アリアは頭を抱えた。

「デュラ……今帰りました」

「あら、ルリカ。おかえりなさい〜」

 あっ、真っ白……。アリアはルリカの白く美しい髪を思わず見つめた。リルカはそれに構わず話を続ける。

「リルカ、クルス王子を捕まえたそうじゃない?
お手柄ね」

「たまたまです……ケルン様はクルス王子をどうなさるつもりなの?」

「もちろん、役に立って頂きましょう。
アリア姫の命だけではまだ弱いですもの」

「クルス!この屋敷にいるの?」

 アリアの瞳からぽろりと涙がこぼれる。あまりに遠く
懐かしいクルスとの日々。

「あらあら恋するお姫様ですわね。やっぱり恋は良いですわよね」

「クルス様はケルン様の管理下にあります。何か伝えましょうか?」

「……」

 アリアはいくつも言葉を探したが何も声に出せなかった。
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