白のアリア
　その日は大雪だったと、リルカは覚えていた。雪の中に青年が倒れている。リルカは青年が着ている物から
高貴な生まれの人だと気がついた。

　ルリカの町はその日お祭りだった。なんでも新しい王がたったらしい。でもリルカには関係のない事。
　当然のように、リルカは青年を無視した。

「リルカ具合悪いの？」
　姉のデュラがリルカの顔をのぞきこむ。リルカは見捨てた青年の事が気になって、食事どころではなかった。
　
「ねえ、リルカ。今度の王様の話をきいた？
これからは白い髪の人間でも差別してはいけない事になったらしいですわ〜」

　二人は顔を見合わせて吹き出した。


「そんなの無理だわ」

　リルカ達は町の人々の冷たい仕打ちと根付いている
差別意識を思った。無理、無理。所詮綺麗事。
　
「そういえば、失脚した貴族がここらへんに逃げてきてるみたいですわよ。なんかかわいそうですわね」

　リルカはもしかしてさっきの青年がそうではないかと思ったが黙っていた。すると、戸をドンドンと叩く音がして、戸を開けると数人の村人が押し行ってきた。

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