白のアリア
 コホン。アルバートは、咳払いを一つすると
アリアとクルスを並ばせた。

 隣のクルスの顔を見ると、まだ笑いをこらえているようで、アリアは悔しかった。
 こんなはずじゃなかったとアリアは再び思う。
 身分は低いけど、アリアは女王になる為に血の滲むような努力をしてきた。
  
 なのにこの扱いは何?
 
 神様なんていない、いても何も見てない。

 「アリア姫、改めて紹介致します。
弟のクルスです」

 へぇ〜……弟なんだ。
 てことはこいつも王子か……。
 ん?ちょと待てよ。

「それって私の婚約者って事?」


「そうなるね」

 アルバートは当然だと穏やかな声で告げた。
 ガーン……。
 その時のアリアの気持ちを表すなら、そんな音。

「あんた知らなかったの?」

 知らなかかったわよ!
 
 堪えきれずに大笑いを始めたクルスの横で
アリアは深い闇に落ちていく……そんな気持ちだった。
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