白のアリア
 街は首都の割に小さかった。しかし賑わっているようだ。アリアは陽の国でもあまり外に出た事がなかった。
 なので見るもの全てが新鮮でウキウキするのを
隠すのが大変だった。

「アリア、ショコラ飲む?」

「まあ、飲んでもいいわよ」

「お兄さんショコラ2つ」

 クルスは慣れた感じで、注文していた。

 こいつ本当に王子なのかしら?なんか庶民じみてるし。

 熱々のショコラを飲みながら、アリアはクルスの横顔をじっと眺めた。
 アリアの視線に気がついたクルスはにこりと笑った。

「アリア、この国はどう?」

「無駄に寒い」

 クルスはクスクス笑う。
 そっとアリアの手を握った。

「何よ?」

「手を繋いだ方が暖かいよ」

 まあ確かにそうだ。しかし、アリアは手を振りほどいた。

「よけーなお世話よ!」

アリアはクルスを置いて、スタスタと歩き出した。
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