白のアリア
 クルスは不思議な青年だった。いつの間にかそのペースに巻き込まれてしまう。
 でもアリアはアリアでマイペースなので、2人はなかなか噛み合わない。
  
「アリア、中央広場に図書館あるんだ。行こうよ」

「私 本は嫌いなの」

「女王候補だったのに?」

 嘘ではない。アリアは本を見ると眠くなる質だ。しかし妹姫リディアに負けない為に、眠い目をこすりながら
勉強した。無駄な努力……アリアは自嘲した。

「もう……頑張らなくていいのよ……」

 アリアは空を見上げた。空はからりと晴れていて
それ故にアリアの孤独を象徴するかのよう。
 
「そうか。ならさ」 

 クルスはアリアを持ち上げた。そのままくるくると
アリアを振り回す。

「これから楽しい事教えてやるよ。本だって
これから出会う本は楽しいかもしれないだろ?」

「やめて!目がまわちゃう!降ろして〜」

しかしクルスはそのままアリアを抱きしめた。

「頑張ったね……アリア」

 頑張ったね……。
 
 それはアリアがずっと欲しかった言葉。
不覚にもアリアの瞳からぽろりと涙が溢れた。
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