間違った恋
「ふっ」
鼻で笑ったようなその笑い方をしたのは若と呼ばれた男。
「…なんですか」
「別に」
はい会話終了。
結局この人たちは何のために私の家に来たのかは謎のまま。
「あの…私帰ってもいいですか?」
「これ受け取ったらな」
しつこい男はお金を受け取るまで私を家に返す気は無いらしい。
「いや本当にいらな…」
「早く受け取れ」
人の言葉を遮ってまで受け取ってほしいらしい。
ため息を一つ吐き、私は封筒から一枚抜き取った。
「これで充分ですよね?お帰り下さい」
帰れ帰れ。
二度と来んなバーカ。
言葉と態度には出さずに丁寧にお帰り頂こうと片手を道路に向かって広げた。
こういう待遇をされた事がないのか男二人は呆気に取られているにも関わらず、若と呼ばれた男は鼻で笑うと私の横をスタスタと歩いて夜の闇に消えていった。
男二人はその後を小走りに追いかけて消えていった。
こうして私の奇妙な夜は終わった。
このせいで次の日寝坊したことは言うまでもなかった。