間違った恋
「菊組の若頭が一人の女に金を断られてすごく怒ってるって!!」
これってヤバくない!?一人で騒ぐリカコにもう絶句。
「それってヤバイの?」
「ヤバイってば!!だってあの菊組の若頭からの物を断ったんだよ!?」
「へえ」
私の命に関わらなかったら相手が怒ってようがどうでもいいんだけど。
私平和に過ごしたいんだよ。
「…沙耶他人事じゃないんだよ」
「じゃあ自分事だね」
「………」
ドン引きするくらい他人事で興味がない私に「アンタどうかしてる」って呆れ顔で私の肩に一発パンチを入れて来たリカコ。
ふつうに痛いし。
「まあとにかくアンタはこれから周りを気にすること!!わかった?」
「はーい」
とりあえず数日は周りを気にして行動しなさいとそうリカコにいわれた。
適当に返事をして、母さんが作ったチキンカレーを三人で食べてからゆったりとした時間を過ごした。
リカコが10時前に帰り、私はとりあえず部屋のカーテンの隙間から外を見てみた。
一応ね。
一応だから。
リカコに言われてビビってるとかじゃないから。
本当にビビってないから。