間違った恋

「わかった…おやすみ」

『ピンチになったら警察に電話しなよ』

「うん」

そう言って電話を切った。

もう絶対にカーテンは開けないと心に決めてベットに潜り込んだ。

電気を消して数分経ったが車が遠ざかる音はしないし、外は異様に静か。

覗きたいけど覗けない。

私このまま殺されちゃうの!?

ベットの中で半ベソかきながら遺書でも残そうかと思っていた時だった。

外から微かな音が聞こえた。

車のエンジンが掛かる音だった。

よっしゃぁぁぁ!!

これで帰ってくれる!そう思っていた。

嬉しさのあまりカーテンを勢い余って開けてしまった私はカーテンを開けすぐ後悔した。

…開けるんじゃなかった、私のバカ。

オープンになった窓から外の景色を見ると、タバコをふかしている若頭の姿があった。

その姿でさえも美しいと思うのはきっと顔が中性的で身長が高いっていうのを兼ね備えているからなのだろうか。

バチっと合った視線にふと思う。

あの時とは逆だと。

クラブで始めて若頭を見たときは私は見上げる方であっちは見下ろす方だった。

そんな逆転している光景でも私はのんびりとそんな事を考えていたのだが、すぐさまカーテンを閉めてベットに潜り込んだ。

少し目を盗まれただけ。

あんな美貌だもん。

そりゃあ目だって盗まれるよ。

そう思いベットで布団を頭から被って瞳を閉じた。

目覚めたら全て元どおり。

全てが夢だったと思いたかった。

明日はリカコと授業終わりに一緒にお菓子食べてのんびり過ごすんだから。

あと早くバイト見つけなきゃ。

重たくなる瞳を完全に閉じ切った。

暗い暗い瞼の裏にはなぜかあの若頭の姿が瞼の裏から離れなかったー…
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