間違った恋

「明後日でいいじゃん」

なんとも適当に返事をするイケメン。

「ってかアツシ面接したの?」

「してねえ」

「ちゃんとしなよー」

「ね?」なんて同意を求めてくるイケメンに内心雇われる側なんだから何でもいいって思った。

「今すればいいだろ」

「アツシ面接しないじゃん。するの俺だよ」

めんどくさいとか言いつつも紙とペンを持って来たイケメン。

「じゃあ面接始めるよ」

そうして勝手に面接が始まった。

「名前と歳と学校は?」

「中野沙耶、19歳、◯◯大学」

「趣味は?」

趣味かあー。強いて言えば…

「食べることです」

まあ人間って食べなきゃ死ぬし?

人間の三大欲求だよね。

「週何時間で何日入れる?」

「週5で…ここって何時までですか?」

「基本的に学生は…夜11時までかな」

「じゃあそれで」

へえ、ヤクザの事務所でも夜11時までしか働けないんだ。

「テスト週間はちゃんと報告してね」

「え?」

「バイトしたからって理由で単位落としたとか言われたくないからね。テスト前は強制休暇させるから」

にっこり笑って言うイケメンは無言の圧力で単位は落すなよって訴えてくる。

「はい…」

「沙耶ちゃんには基本的にアツシの妹のお世話やこの事務所の手伝いをしてもらう。あ、書類の整理とかだから安心して」

面接をしていた内容を紙に記入しながきちんと書類整理をしていた。
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