間違った恋
「ねえねえもしかして…」
「あ?なんだよ」
「私の事隠し撮りしたのってアンタ?」
一昨日、遊佐さんに見せられた写真を撮ったのは藤間かと尋ねると首を縦に振る藤間。
…盗撮魔かよ。
階段を上りながらふと思った。
若と藤間ってどんな関係なんだろう。
ってかまずなんでここに藤間がいるんだろうか。
「ねえねえ」
「………」
「ねえ無視?」
「………」
「ねえ藤間ってば!」
「うるせえな」
アンタが無視するからじゃん。
無駄に話しかけさせやがって。
「着いたぞ」
そういう藤間は私の聞きそびれた問いを気付かないフリをして事務所の扉を開けた。
「待ってたよ、沙耶ちゃん」
中に入ると、ソファに深く腰を掛けてノートパソコンを弄っている遊佐さんの姿があった。
「牧生(マキオ)もお疲れ」
「ああ」
牧生、と呼ばれた藤間は何ともぶっきらぼうに遊佐さんに反応した。
それにしても…
ププッ
藤間って顔は怖いのに名前は牧生って。
顔と名前が合ってないんじゃ…
「黙れ」
「え?」
私何も喋ってな…
「声に出てんだよ」
いこともなかったらしい。
心の声が出ちゃってたらしく、すごい勢いで藤間に睨まれた。
「まあまあ、沙耶ちゃんそこ座って。仕事の説明するから」