間違った恋

いや、リカコはナンパされるに違いないけど私はされる気がしない。

なんたって平凡な女だから。

「しかもね!そこのクラブね!あの菊組の方たちがよく来るらしいの!!」

菊組?

「幼稚園の先生がー?それってそこの幼稚園潰れない?」

そんなチャラついた先生の元で子供が健全に育つはずないじゃん。

私は笑ってリカコに返事した。

「何行ってんの!菊組って言えばこの辺で一番大きいヤクザじゃん!」

「ヤク…っていや!!ごめんリカコやっぱり私行かない!」

なにが悲しくてそんな危ないところ行かなきゃならないのよ!

行くなら一人で行けばいいじゃん!

「そんなこと言わないでさ。ね?一回行こうよ!イケメン沢山いるしね?」

そんな事言われたって怖いもんは怖いんだもん!!

硬く口を閉ざしている私にリカコは決定的な一言を放った。

「黒髪二重で高身長いるかもよ?」

「………行く」

ああ、私はなんて簡単な女なんだろう。

私の中で黒髪で二重で高身長は最強説があるんだから。
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