たった一度のモテ期なら。
「そっちは、なんかある?俺もあんまり勘よくないよ、恋愛方面」

「言ってもいいの?」

「まあ、善処する」

「できるだけでいいからね、好きとかそういうやきもちとか、いつも言葉で言って欲しいなって。私鈍いし、たぶん結構不安になると思うから」

「……今からうち来て」

少し時間がかかった西山の返事はあさっての方向だ。

急に立ち上がると、手をつないで部屋を出て行こうとする。

「西山、どうしたの?」

「うちでいくらでも言ってやるから。お前最近かわいすぎてやばいとか、俺のほうが不安なんだよとか」

ドアを向いたまま言われて、恥ずかしくて「今もう言ってる」と後ろからちゃかしたら、そのまま壁に押し付けられて唇をふさがれる。

「ここで言い始めたら止まんなくなるから。わかった?」

「うん」

お互い好きってわかったら、付き合うって決まったら、もっとふわっとあったかい気持ちになるかと思ったのに。

昨日よりもっとドキドキしすぎて、心臓が持たなそうだと思った。


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