たった一度のモテ期なら。
『あのね。でもやっぱり、会った時にしようかな』
「なんだよ、気になるから言え」
『原ちゃんがね。あーダメだ、黙ってられない』
思ったのと違う方向性に、非常階段に向かおうとした足を止めてそのまま壁に寄りかかって話すことにする。
原はさすがに今更奈緒になにかすることはないと思うが、それでも気にはなる。
「原ちゃん?」
『なんとついに原ちゃんがね、綾香と付き合い始めたの!』
「……あー、誰に聞いた?」
『綾香に直接聞いたんです。ね、私の言った通りだったでしょ。カズくんの負けだからね』
「はいはい、裏が取れたらな。約束通りなんでもおごってやるけど」
『やった!』
最近あいつらには会ってないけど、まあ今更ないだろう。奈緒独特のややこしい勘違いだろうな。
「じゃ、富樫課長待たせてるから行くな」
『うん。カズくん、大好きだよ』
「俺も好きだよ。あとでまた連絡する」
通話を切った途端に、嫌な予感がした。振り向くとドアを半分開けて覗いているイケメンがいる。
「好きよ、カズくん」
妙な裏声が変に上手くて、この人は一体なんなんだ。
「なんだよ、気になるから言え」
『原ちゃんがね。あーダメだ、黙ってられない』
思ったのと違う方向性に、非常階段に向かおうとした足を止めてそのまま壁に寄りかかって話すことにする。
原はさすがに今更奈緒になにかすることはないと思うが、それでも気にはなる。
「原ちゃん?」
『なんとついに原ちゃんがね、綾香と付き合い始めたの!』
「……あー、誰に聞いた?」
『綾香に直接聞いたんです。ね、私の言った通りだったでしょ。カズくんの負けだからね』
「はいはい、裏が取れたらな。約束通りなんでもおごってやるけど」
『やった!』
最近あいつらには会ってないけど、まあ今更ないだろう。奈緒独特のややこしい勘違いだろうな。
「じゃ、富樫課長待たせてるから行くな」
『うん。カズくん、大好きだよ』
「俺も好きだよ。あとでまた連絡する」
通話を切った途端に、嫌な予感がした。振り向くとドアを半分開けて覗いているイケメンがいる。
「好きよ、カズくん」
妙な裏声が変に上手くて、この人は一体なんなんだ。