たった一度のモテ期なら。
翌日、小林くんから友達申請とメッセージが来て、週末に映画に行く話になった。
そうか、西山は一緒じゃないんだなとやっとわかってくる。確かに西山は小規模な映画に興味を持つタイプじゃない。
でもよく知らない人たちだけならそんなに行きたくもなかったなんて、今更断れないよね。
【土曜の朝一ならいい席取れると思う。あそこネット予約できないけど】
【ミキちゃんマコちゃん2人とも来るよね?綾香まで誘ったら多すぎるかな】
【そうだね。大人数はちょっと避けたいな、俺も】
大丈夫だから誘っておいてよって言われるかと思ったのに、小林くんは本格的にいいポジションで見たいらしい。
まあいいか。こないだも楽しかったし、西山の友達なんだからいい人たちに決まってる。
彼と遠距離になって以来映画館に行く機会が減ってたから、ごちゃごちゃ考えずに楽しんでこよう。西山もたぶん、友達同士が仲良くなったら楽しいなって、そんな気持ちなんだろうから。
夢を見てる同期を励ましてくれているつもりなのかもしれない。
映画好きの人に脚本術を学ぼうと思ってるなんて絶対恥ずかしくて言えるわけない卑屈な気持ちは、西山にはきっとわかってもらえない。