たった一度のモテ期なら。
「ニシはいつも彼女いるんだよなあ、昔から。ちょこちょこ変わってるけど」

この言い方は、同期の中でもよく聞く。なんであいつばっかりモテるんだ、そこまでかっこいいか?と愚痴られたりする。

確かにすごくイケメンかって言うと違っていて、かっこいい方かなって程度だと思う。

でもどこかほっとけない雰囲気がある。かっこよくて頼れるのになぜか母性本能をくすぐる不思議なタイプだ。

「でも最近彼女いないみたいだよね。一人でいるの苦手そうなのに、寂しくないのかな」

「奈緒ちゃんが言うと、寂しがりな男の子みたいに聞こえるね。あれはただの女好きだよ、だまされちゃだめだよ」

そう言う小林くんも彼女いないんだろうなぁ、となんとなく思う。失礼かもしれないから聞けないけど。



共通の話題がいろいろあったからか、最初に思ったほど気づまりでもなくて楽しいランチだった。

ただ、どういう流れだったかハリウッド映画化された日本のライトノベルを貸してあげるという話になってしまったのが誤算だ。

本の貸し借りにミキちゃんマコちゃんを付き合わせるのもおかしいから、また2人でってことになりそうで。

なんかちょっとやっぱりデートみたいじゃない?でも別に義理立てする彼氏もいないし、気にし過ぎだろうか。

うーん、綾香に聞いてみよう。そう決めたら少しほっとした。

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