たった一度のモテ期なら。
「私も頑張らないとなぁ。迷惑かけてばっかりじゃだめだよね」
「財務系の知識は足りないから、こういうの俺も勉強になるんだって。だいたいいちいち迷惑とか言うな。同期なんだから助け合って当然」
そう言ってはくれるけれど、助けてあげられることなんてないからなぁ。
せめて作業中に廊下の角の自販機で買っておいた缶コーヒーを手渡すと、西山はリラックスするように脚を伸ばした。
「こないだ富樫課長と一緒にいたの、仕事?」
「グループ本社の経理プロジェクトにうちも協力するんだって」
「本社行ってきたのか。本社との絡みなんてめったにないのに、すごいじゃん」
「うん、でも別にやることそれほどない感じ。もうすぐ営業に試験利用してもらうけど、たぶん二課だけなんじゃないかな」
「なんで経理のプロジェクトに富樫課長が絡んでんの」
「なんでだろうね」
知らないふりで答えたはずなのに、お前なんか知ってるな、と目を細めて疑われる。
変なことを口走らないように口をぎゅっと結んで首を振ると、笑いながら口の端をつままれた。
「嘘が下手なんだよ、気になるから言え。それも黙っといてやるから」
「言わないでって言われたの。これあげるから許して」
ポケットからチロルチョコを差し出したら、パッケージを長い指でいじりながら「気に入られてるよな」と言った。
「財務系の知識は足りないから、こういうの俺も勉強になるんだって。だいたいいちいち迷惑とか言うな。同期なんだから助け合って当然」
そう言ってはくれるけれど、助けてあげられることなんてないからなぁ。
せめて作業中に廊下の角の自販機で買っておいた缶コーヒーを手渡すと、西山はリラックスするように脚を伸ばした。
「こないだ富樫課長と一緒にいたの、仕事?」
「グループ本社の経理プロジェクトにうちも協力するんだって」
「本社行ってきたのか。本社との絡みなんてめったにないのに、すごいじゃん」
「うん、でも別にやることそれほどない感じ。もうすぐ営業に試験利用してもらうけど、たぶん二課だけなんじゃないかな」
「なんで経理のプロジェクトに富樫課長が絡んでんの」
「なんでだろうね」
知らないふりで答えたはずなのに、お前なんか知ってるな、と目を細めて疑われる。
変なことを口走らないように口をぎゅっと結んで首を振ると、笑いながら口の端をつままれた。
「嘘が下手なんだよ、気になるから言え。それも黙っといてやるから」
「言わないでって言われたの。これあげるから許して」
ポケットからチロルチョコを差し出したら、パッケージを長い指でいじりながら「気に入られてるよな」と言った。