たった一度のモテ期なら。

「丸野、絡み酒になるなよ?なんかハイペースだけど大丈夫?」

「別に?」

そう答える綾香は、私達が来る前から結構飲んでいるらしい。綾香が席を外したすきに、なんかあったか知らないのかって聞かれる。

うーん、全然聞いてないし、綾香は何かあっても私に相談してくれるような気もしない。

「仕事でなんかあったかな。もしくは男か」

「とりあえず今日は早めに切り上げようぜ。俺あの人送ってく係でしょ、どうせ」

原ちゃんはすでにため息交じりだ。平日だからもともとそんなに飲むつもりなかったけれどね。

「原に送らせればいいと思うと飲むからなぁ、丸野」

「やめてくれよ。泥酔した美人とか対処にほんと困るから」

確かに。酔ったところをお持ち帰りなんてことは原ちゃんはしないからこそ、綾香も素で頼っちゃうからね。




結局、綾香に何気なくお水を勧めたり食べさせたりして、飲み過ぎないように気をつけながらの会になった。

それでもなんだか今日の綾香は酔っ払いだ。帰り道は理性を集めてがんばれ原ちゃん。




「で?」

酔いで気だるげに髪をかき上げる色気のあるしぐさに見惚れたが、綾香は私に何か聞いているらしい。

なにが「で?」なのかわからず後の2人の顔を見るが、わからないのは珍しく私だけではないらしい。


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