たった一度のモテ期なら。
残業帰りに誰かを誘いたくなってスマホを取り出して、綾香はちょっと気まずいなと手が止まる。
そうだ、原ちゃんどうかな、こないだのことも謝りたいし一石二鳥だ。原ちゃんはキリが良かったからと二つ返事で仕事を終わらせてきてくれた。
「ごめんね、急に」
「俺は全然いいけど。影森から誘われるなんて珍しいし。どうした?」
「酔っぱらったら私のことも送ってくれるかなと思って」
ふざけて言ってみたら、原ちゃんがちょっと目を見開いた。
あ、こういうのが男に媚びてるって言われるのかもしれないと思い当たり、慌てて「冗談。そんなに飲まないよ」と打ち消した。
「丸野は?忙しいって?」
「そういうわけでもないけど、ちょっと」
ふうん、と相づちを打つだけで追及しない原ちゃんは綾香から何か聞いているのかもしれない。
だったらたまには違う店に行くかと原ちゃんが連れてきてくれたお店は奥に長い薄暗いカウンターがあり、なかなか居心地がいい。
普通の居酒屋かと思うのに、クラフトビールの種類が豊富だったりもする。
その籠もった落ち着く空間のせいか、原ちゃんについこぼしたくなってしまった。
そうだ、原ちゃんどうかな、こないだのことも謝りたいし一石二鳥だ。原ちゃんはキリが良かったからと二つ返事で仕事を終わらせてきてくれた。
「ごめんね、急に」
「俺は全然いいけど。影森から誘われるなんて珍しいし。どうした?」
「酔っぱらったら私のことも送ってくれるかなと思って」
ふざけて言ってみたら、原ちゃんがちょっと目を見開いた。
あ、こういうのが男に媚びてるって言われるのかもしれないと思い当たり、慌てて「冗談。そんなに飲まないよ」と打ち消した。
「丸野は?忙しいって?」
「そういうわけでもないけど、ちょっと」
ふうん、と相づちを打つだけで追及しない原ちゃんは綾香から何か聞いているのかもしれない。
だったらたまには違う店に行くかと原ちゃんが連れてきてくれたお店は奥に長い薄暗いカウンターがあり、なかなか居心地がいい。
普通の居酒屋かと思うのに、クラフトビールの種類が豊富だったりもする。
その籠もった落ち着く空間のせいか、原ちゃんについこぼしたくなってしまった。