たった一度のモテ期なら。
「ううん、私のことでイライラさせてるんだろうなってわかってた。気をつけるって言いたいけど、気をつけられないみたい。こっちこそごめん」

「そこで謝れちゃうんだよね、奈緒は。ああいうの言われてても木元さんとこ通ってきてるし、結局味方につけてるし? 逆立ちしてもかなわないってこういうことかって思うわ」

これはなんて答えたらいいのか。何に敵わないって?皮肉?

「とにかくお詫びに協力するから許して。で、小林くんが勘違いしたメッセージ送ってくるのを無難にかわしたいってことね?」

「うん」

「忙しいからっていうのは効かないんだったよね。空気の読めない奴か。既読でスルーしていいんじゃない?何回か反応しなければ気づくでしょ」

当たり前みたいに綾香は言う。さすがモテ慣れてる人はすごい。

「でも、西山の友達だよ」

「関係ないってそんなの。変に期待させとく方がかわいそうでしょ。付き合ってとかも言ってこないのが悪いんだから」

「そうかな。言うのが普通?」

「まあ、そうじゃないこともあるけど、奈緒みたいな子にははっきり言うのが礼儀でしょ」

「いきなりキスするのはおかしいと思う?」

「は?いきなりして来たわけ?」

経緯を説明して、私もデートかなとは思ったし誤解があるのかもと話すと、綾香は怒りはじめた。

絶対確信犯、と綾香は言う。

「強引にことを進めちゃえば奈緒は流されると思ってるんだよ。悪質、最悪」
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