【完】俺がずっと、そばにいる。

すると、そんなゆずの発言をポジティブにとらえたらしい先輩が、片手でゆずの腕を掴み、顔をじっと覗き込む。


そして、もう片方の手を壁に着いて、いわゆる壁ドンみたいな体制になって、まさに逃げられないような状態になってしまっていた。


『えっ、克服!?』


『うん。俺が柚月ちゃんに恋を教えてあげるってこと』


なんて言いながらゆずの髪を触るこの男は、何かのドラマのマネでもしてるんだろうか。


『べ、べつにいりませんっ!大丈夫です!』


『なんで?試しに付き合ってみればいいじゃん』


『え、ちょっ……いやっ!』


嫌がる彼女の手首を掴み、無理矢理壁に押し付ける先輩。


『何でもさぁ、試してみないと分かんないよ?』


その様子はまるで、今にも無理矢理キスしそうな勢いだった。


< 129 / 376 >

この作品をシェア

pagetop