【完】俺がずっと、そばにいる。
すると、そんなゆずの発言をポジティブにとらえたらしい先輩が、片手でゆずの腕を掴み、顔をじっと覗き込む。
そして、もう片方の手を壁に着いて、いわゆる壁ドンみたいな体制になって、まさに逃げられないような状態になってしまっていた。
『えっ、克服!?』
『うん。俺が柚月ちゃんに恋を教えてあげるってこと』
なんて言いながらゆずの髪を触るこの男は、何かのドラマのマネでもしてるんだろうか。
『べ、べつにいりませんっ!大丈夫です!』
『なんで?試しに付き合ってみればいいじゃん』
『え、ちょっ……いやっ!』
嫌がる彼女の手首を掴み、無理矢理壁に押し付ける先輩。
『何でもさぁ、試してみないと分かんないよ?』
その様子はまるで、今にも無理矢理キスしそうな勢いだった。