【完】俺がずっと、そばにいる。
すると、座り込む俺の元にゆずが泣きそうな顔で駆け寄ってきて。
『梨月くん!』
彼女は俺に申し訳なく思ったのか、何度も何度も必死に謝ってきた。
『ご、ごめんね!ほんとにごめんなさいっ!私のせいで……。痛かったよね』
『いや、大丈夫だけど。姫川は何もしてねぇし』
『でも、ありがとう……。嬉しかった。助けてくれて』
正直さっきのはべつにゆずだから助けたというわけではなかったけれど、素直にお礼を言われて悪い気はしなかった。
『梨月くんて、優しいんだね』
なんて、はにかんだような顔で言われて、何とも言えないむず痒い気持ちになる。
その笑顔はいつものわざとらしい表情とは違って、彼女の素の笑顔のような気がした。
『いや、べつに……』
不覚にも、久しぶりに女子相手にドキッとしてしまった俺。