【完】俺がずっと、そばにいる。
……ヤバい。俺、完全に遅刻だ。5分以上過ぎてるし。
ゆずはどこだろう。待たせたから謝らねぇと。
キョロキョロとあたりを見回し、ゆずの姿を探す。
そしたら彼女は私服姿だったけれど、目立つからすぐに見つかった。
息を切らしながら駆け寄り、手に持ったスマホをじっと見つめる彼女の肩をポンと叩く。
『悪い!待たせた』
そしたら彼女はビクッと肩を震わせ、こちらを振り返ると、俺の顔を見るなり目を見開いて、大声をあげた。
『……りっくんっ!!』
その表情はなんだか心底ほっとしたかのような顔で、その目にはなぜか涙が浮かんでいた。
『ごめんな。実はさっき……』
俺が謝ろうとしたら、ゆずはいきなり俺の服をぎゅっとつかみ、しがみついてくる。
『よ、よかったぁ~っ!』
『え……?』