【完】俺がずっと、そばにいる。
そのまま胸に顔をうずめられて、戸惑う俺。
『あぁっ、無事で、よかった……っ』
よく見ると、ゆずの細い体は震えていて、呼吸が荒くて、明らかに様子がおかしかった。
確かに俺は遅れてきたけど、5分くらいだし、そんなに心配されるほどの時間でもないような気がするけれど、彼女はよほど俺の安否が心配だったんだろうか。
『いやあの、言い訳するつもりはないけど、さっきそこで中学の同級生につかまって、逃げられなくなって……。待たせて悪かった。ごめんな』
一応遅れた理由を説明したら、ゆずは涙声で、何度も息を吸い込みながら、苦しそうに答えた。
『う……ん。いいの。よか……っ』
だけどなんか、やっぱり様子が変だ。
『ゆず?』
『……っ、はぁ、はぁ』
心配になって、もう一度じっと見下ろしてみると、どうやら彼女は過呼吸を起こしているみたいだった。