【完】俺がずっと、そばにいる。

『おい、大丈夫か?』


『だ、だいじょ……うぶっ』


俺は焦ってとりあえずどこか座れるところに行こうと思い、すぐ近くのベンチまでゆずを連れて行った。


隣に座り、彼女が落ち着くまで、そっと背中をさすってやる。


しばらくすると、ゆずはようやく呼吸が整ったようだったのでホッとした。


『どう?もう平気?』


『あ、うん』


あらためて遅刻したことを申し訳なく思う。


『ごめんな。なんか、俺が遅刻したせいで……』


だけどゆずはそんな俺の言葉を遮るようにして、自分も謝ってきた。


『ち、ちがうのっ!りっくんは何も悪くないよっ。あんなの遅刻のうちに入らないし!ただ、私が……おかしいの。迷惑かけちゃって、ごめんね』


『いや、迷惑なんて』


『ビックリ、したでしょ……?』


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