【完】俺がずっと、そばにいる。
気まずそうな顔でそう言われて、なんて答えようか迷ったけれど、ウソつくのも変だなと思い頷く。
『いや……うん、まぁ。でも、べつにおかしいとか思ってないし』
『ごめん、ほんとに。正直、りっくん引いたかなって思ったもん』
『引くわけねぇだろ』
『わ、私ね、実は……待ち合わせが、ダメで……』
おそるおそる語り始めた彼女。
『相手が遅れてきたりすると、さっきみたいにパニックになっちゃうの。む、昔ね……待ち合わせてた人が、来なくて……』
『えっ?』
『そのまま、二度と会えなくなっちゃったから……』
突然のカミングアウトに息を飲む俺。
ゆずの声は震えていて、いろいろ思い出してしまったのか、またしても泣きそうな顔になっていた。
『そ、その人……初めての彼氏、だったんだ……』
『え……』
『デートで待ち合わせした日に、来る途中、事故で亡くなって……っ』