【完】俺がずっと、そばにいる。

そこまで話すとゆずは我慢ができなくなったのか、ポロポロと涙をこぼしながら泣きはじめた。


『うぅっ……。だから私、それ以来誰とも付き合うことができないの。恋愛するの、怖くて……っ。』


『……』


『いつかまた、突然いなくなってしまうんじゃないかって……』


『そう……だったんだ』


その時俺は初めて理解した。


彼女があらゆる相手からの告白を全部断っている本当の理由。


そして、時々見せる悲しそうな表情や、不自然な笑顔の理由。


すべてが糸でつながったような気がして。


その裏にはこんな悲しい経験があったんだと思ったら、ひどく胸が苦しくなった。


それなのに、ずっとこいつは人前で弱さを見せないように我慢してきたんだ。


それって結構しんどかっただろうなって。


< 140 / 376 >

この作品をシェア

pagetop