【完】俺がずっと、そばにいる。
いつも明るい彼女が初めて見せた弱さ。抱えていた苦しみ。
それを知った時、俺の中にはある感情が芽生えていた。
〝支えてやりたい〟そんな気持ち。
『いきなりこんな話して、ごめんね……。誰にも言わないで』
ゆずが涙をぬぐいながらまた謝ってくる。
『いや、大丈夫。誰にも言わねぇし。言いづらいこと話してくれてありがと』
俺がそう言ったら、彼女はまた泣きそうな声で目を潤ませながら答えた。
『こちらこそ、聞いてくれてありがとう。なんかちょっと、救われた……』
それを聞いて、特に俺は何をしたわけでもないけれど、少しでも彼女の気持ちが楽になったのならよかったなと、心から思った。
同時にこんなことを打ち明けてくれるくらいに、彼女が俺に気を許してくれるようになったことが嬉しくて。
もっと彼女のことを知りたい。そしてもっと、彼女の本当に笑った顔が見たい。
俺が彼女を笑顔にしたい。
そんなことを思うようになった。