【完】俺がずっと、そばにいる。

いつも明るい彼女が初めて見せた弱さ。抱えていた苦しみ。


それを知った時、俺の中にはある感情が芽生えていた。


〝支えてやりたい〟そんな気持ち。


『いきなりこんな話して、ごめんね……。誰にも言わないで』


ゆずが涙をぬぐいながらまた謝ってくる。


『いや、大丈夫。誰にも言わねぇし。言いづらいこと話してくれてありがと』


俺がそう言ったら、彼女はまた泣きそうな声で目を潤ませながら答えた。


『こちらこそ、聞いてくれてありがとう。なんかちょっと、救われた……』


それを聞いて、特に俺は何をしたわけでもないけれど、少しでも彼女の気持ちが楽になったのならよかったなと、心から思った。


同時にこんなことを打ち明けてくれるくらいに、彼女が俺に気を許してくれるようになったことが嬉しくて。


もっと彼女のことを知りたい。そしてもっと、彼女の本当に笑った顔が見たい。


俺が彼女を笑顔にしたい。


そんなことを思うようになった。


< 141 / 376 >

この作品をシェア

pagetop