【完】俺がずっと、そばにいる。
「ねぇ、このいちごポッキー期間限定の〝野いちご味〟なんだって」
「へぇ。普通のと何が違うわけ」
「うーん、もっと甘酸っぱい味とか?食べてみればわかるよ、きっと!」
そう言ってさっそくポッキーを一本口にする彼女。
「どう?違い分かった?」
「……ん?待って。わかんないかも。もう一本」
「ぷっ。わかんねぇのかよ」
苦笑いする俺。
彼女は困ったような顔をしながらポッキーをもう一本口にくわえる。
その表情はさっき勉強していた時よりも、ずっと一生懸命考えているような顔だ。
その表情がなんだか可愛くて、俺の中でふいにイタズラ心が顔を出す。
「なぁ、ゆず」
「ん?」
声をかけると、ポッキーをくわえたまま振り返るゆず。
俺はその瞬間、すかさずそのポッキー反対側からぱくっと一口食べた。