【完】俺がずっと、そばにいる。

「ねぇ、このいちごポッキー期間限定の〝野いちご味〟なんだって」


「へぇ。普通のと何が違うわけ」


「うーん、もっと甘酸っぱい味とか?食べてみればわかるよ、きっと!」


そう言ってさっそくポッキーを一本口にする彼女。


「どう?違い分かった?」


「……ん?待って。わかんないかも。もう一本」


「ぷっ。わかんねぇのかよ」


苦笑いする俺。


彼女は困ったような顔をしながらポッキーをもう一本口にくわえる。


その表情はさっき勉強していた時よりも、ずっと一生懸命考えているような顔だ。


その表情がなんだか可愛くて、俺の中でふいにイタズラ心が顔を出す。


「なぁ、ゆず」


「ん?」


声をかけると、ポッキーをくわえたまま振り返るゆず。


俺はその瞬間、すかさずそのポッキー反対側からぱくっと一口食べた。


< 145 / 376 >

この作品をシェア

pagetop